櫻色ノ薔薇
【陸、生徒会長】
「すいませーん!失礼しまーす!」
人の気配の無い玄関に不安を覚え、は一際大声を上げてみた。ちなみにこれで二度目だったりする。 はもうこの薄桜学園に着いているだろう。 あれからBlendaの笑顔に怯えながら英語と格闘すること30分ぐらい。 正直言って、英語は得意な分野ではないが、だからと言って苦手でもない。 1ページに約10分ほど割きながらようやく宿題を仕上げた。Blenda恐るべし。 さっきから客人が声を上げているのにウンともスンとも応答がない。 この廊下も、校舎すらも相変わらず人の気配がない。が仕方なくもう一度叫ぼうかと思った矢先だった。
「おっ!!これはこれはお嬢様一号…いや二号だったか。 どうしたんだこんなところで!」
聞き覚えのある声には視線を上げた。眩しいほどの笑顔とジャージ姿のこの人は覚えがある。むしろ忘れる方が難しい。 名前は永倉先生だ。確か…失礼を承知で言えば、絶対に見えないけれど数学教諭。 頭に鉢巻…ではなくタオルを巻いている姿はどう見ても体育教師だろう。
「よかった!あの永倉先生。欧州のが先に着いていると思うのですが。 今日は薄桜の生徒会長と土方教頭にご挨拶を…」
「あれか!さっき左之が案内するって言ってたやつだな。 丁度、生徒会室に行ってるぜ。俺で良かったら案内してやるよ」
「はァ?…あっ、ありがとうございます」
この人、今何て言った。“左之”ですって? と、永倉先生は恐らく薄桜学園で危険人物トップ3に入るであろう三人組の一人の名前を口にしたのだ。はそれを聞き逃さなかった。が“左之”といる。危険だ。 彼女が“羅刹”と関わりがあると知れたら何をされるかわからない。 もしかすれば残りの二人の元に連れられて、あんなことやこんなことをされるかもしれない。 嫌だ。そんなことはあってはならない。
「永倉先生急ぎでお願いします」
「お?そっそうか!?」
怪しまれない様に、でも速足では廊下を進んだ。何だが嫌な予感がする。 そして普段は当たらない“嫌な勘”もこういう時に限って当たったりするのだ。
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原田先生に連れられては生徒会室にたどり着き徐に扉を開いたのだ。 すると恐らく応接用であろうソファーに寝そべった男と目が合った。 その隣には大柄な男がどっしりと構えて座っている。 寝そべった男は、少し色黒の肌で長髪を結わい耳元にはピアスがいくつかつけられていた。 服装も乱れに乱れきっている。先ほど声を発したのはこの男だろう。 どことなく…雰囲気がチャラい。いや、この男は違う。生徒会執行部メンバーではない。 不良少年だ。きっと風紀委員にでも見つかって生徒会長直々にお説教を受けるのだろう。の中で不良少年の存在は完結した。 一方で隣の大柄の男はの姿を見るとぺこりと礼儀正しく頭を下げた。うん。 この人はパッと見そうには感じられないけれどもしかしたらそうかもしれない。 随分と落ち着いていて、自分と比べれば高校生かと疑うほどの貫禄だ。 もちろん良い意味で。しかしなぜかこの人は薄桜学園の浅黄色の制服ではなく、応援団と思しき学ラン姿だった。 何だろう。この学園には決められた浅黄色の制服があったはずなのだが。の頭の中で色々な考えがぐるぐると渦巻いていた。
「お!原田じゃねーか。どーしたんだよ」
「ったく、俺の事は原田“先生”って呼べよ」
「で、何しに来たんだ」
原田先生は不良少年の不躾な物言いも気にせずに、私の肩を抱き寄せると彼らの前に差し出した。 不良少年と応援団団長(多分)が瞬きを繰り返す。ついでに私も目をぱちくりさせている。 今、何だか供物を差し出すような感じだったような。それにちゃっかり肩を抱かれたような。 ええい、突っ込んだら負けということか。いいだろう。
「土方さんが言ってた欧州女学院のお嬢様だ。客だ、丁重に扱えよ。失礼のないようにな。風間は居るか?」
「へぇ…そいつが…」
“風間” というのは恐らく生徒会長の名前だろう。いったいどんな人だろうか。名前だけでは想像もできない。 原田先生が私を紹介した後、一瞬だけ不良少年の目が、いや眼差しが鋭くなった気がした。私何かしたっけ? でもそれはあまりにも一瞬すぎて見間違いだと思うことにした。
「初めましてお嬢さん。話は風間から伺っています。私は天霧九寿。どうぞよろしく」
「俺様は不知火匡だ。あっちで風間が待ちわびてるぜー。お前に会わせろだのどうこうしつこくってよ」
「…欧州女学院2年のです。どうぞよろしくお願いします」
風紀委員に捉えられた不良生徒だと思っていたが、どうやらそうではないらしい。ここに居座っているのだろうか。 彼の指は奥にあるパーテーションの向こう側を指していた。そこに生徒会長はいるらしい。 少しだけ不安になって原田先生を見ると、大きく肩を竦ませながらため息を漏らしていた。
「まっ、俺はここに居るから何かあったらすぐに呼べよ」
「そうそう。アイツどうもお前と二人っきりになりてぇみたいでよ。俺らだってこっちに追い出されたんだぜ」
優しく頭をポンポンと叩かれる。正直、これは反則だと思う。 原田先生にこんなことをされてドキドキしない女子がいるのなら見てみたい。 私の心は完全に溶かされようとしている。どうにかそれを押しとどめた。
不知火と名乗った不良生徒は、そう言いながらも手元の雑誌から視線を外さないまま。 隣の天霧さんは、静かに私たちの様子を見つめていた。
おかしな空気だが、今のところ問題ないだろう。 私は欧州女学院の生徒会長として薄桜学園の生徒会長と挨拶をすればいい。 それだけのことだ。どこか変な胸騒ぎを覚えながら、 パーテーションの向こうに居るであろう生徒会長の元へと足を進める。
「失礼します」
衝立の向こう側へ声をかけると短く「来たか」とだけ声がした。 低く落ち着いた男の声。何故だろうまだ胸騒ぎは消えない。 静かに奥に進むと大きな革張りのソファーに座り優雅に足を組む男と目が合った。 この部屋に入ってからお決まりともいえる浅黄色とはかけ離れた出で立ちをしている。
見たこともない白い学ランに薄金の髪、そして、紅玉を思わせるような瞳。
その男を見た瞬間、鼓動は更に高鳴り胸の中に何とも言えぬ突っかかりを覚えた。 胸が詰まるような…嫌な感情。ゆっくりと胸の中に溜まった空気を吐き出した。
「初めましてこんにちは。私は欧州女学院2年の…」
「来い」
私の挨拶と自己紹介を遮り、男はなお優雅に座りながらも短く命令した。 初対面の相手に向かって「来い」とは何様だろうか。 この目の前の超失礼な男が何を考えているのかわからないし、 わかりたくもなかった。だが有無を言わさぬ口調…そして眼差し。 彼の紅い瞳は人を従わせる力でもあるのか。 気付けば男に言われた通りに、彼の隣まで歩み寄っていた。 相変わらず胸の中には嫌な感情が漂っている。そこで、止まればよかった。 止まればよかったのだ。
その男の真横まで来た私は自然と見下ろす形になる。 私は立っているし男は座っている。曇りなく澄んでいて、それでいて刃の切先のような鋭さを持った紅い瞳が私を映し出す。 怖い。本能がそう感じた気がする。 何も言葉が出なかった。胸元の嫌な動悸がこれでもかと響く。 恐怖からか一歩だけ後ろに下がろうとした時だった。
男が、その端麗な顔を嗜虐的な笑みで崩した。
どうしてこうなったのかはわからない。 突然の出来事に思考が付いていかなかった。 背中と後頭部にズシリと痛みがが走ったのがわかる。 更に右手にも軽く痛みが残っている。男の隣に立ち彼を見下ろしていたはずだったのに、 今は私が紅い瞳に見下ろされていた。そして視界には男と…天井。 何事かと必死に考えを巡らす。そうだ。男の隣に立ち…急に手を引かれた…。 ソファーに押し倒されている。一瞬の出来事に軽く眩暈がする。 私が目を見開いたまま反応が無いのをよそに、男の顔が更に寄せられる。 声を上げなければ。この男…危険だ。
何をしようと言うのか。私には理解できないが どう考えても自分にとってプラスになることではないのはわかる。 男は私をソファーに押さえつけながら顔を覗き込む。 ここは学校だ。衝立の向こうには人がいる。 そうだ原田先生だ。それに不良生徒に応援団団長。 彼らもこの男の仲間でないことを信じたい。せめて原田先生だけでも。
声を…上げなければ。助けを…
突然の出来事からか、恐怖からかどうも咄嗟に大きな悲鳴というのは出ないらしい。 声を出すのも難しい。身体が、胸が、背筋が、喉が、強張るからだろうか。 口が音なく息を小刻みに吐き出す。 男は私の顔をこれでもかと言うくらい見つめると、ふと鼻で笑った。
「…んっ」
強い力を感じた。 やっと声が出ると思った矢先の出来事だ。 私は目を閉じることもせず見開きながらすべての状況を見つめていた。 冷静に分析することなど不可能。 だが、今目の前で起こっていることを…説明するならば、 私はこの男に口付けられていた。 視線を外せば天井、戻せば目の前に男の顔。後頭部に手を回されている。 逃げようにも逃げれない。強い力。男の紅い瞳は私を捉えて逃がさない。 護身術は一通り習ったはずだ。学校で、見知らぬ男に突然口付けられている。 この状況で使わない理由がない。だが叶わなかった。 よくよく考えれば口が塞がれていれば鼻で呼吸すればよいのだが、 私は冷静さを欠いていた。呼吸が叶わず、思ったように力が入らない。 男の胸を押しのけようとしても、ビクともしなかった。
助けて!誰か!
頭の中では全力で叫んでいるのに口は塞がれ声にはならない。 そして息が出来ないことがこの上なく苦しい。 見開いていた目がまるで寝ぼけ眼のように緩む。 私の表情、私の瞳、私の唇、全てを奪い去った男の唇が僅かに離れた。 途端に私は呼吸を酸素を求める。呼吸が整わない今は悲鳴はおろか声すら出ない。 僅かに開いた口からはぁはぁとだけ息を漏らすのに精一杯だ。
「おい女、お前は何者だ」
この男はいきなり何を言い出すのだろうか。 とにかくこの状況から逃げなければ。体を動かしたかったが力が入らない。 男の唇は一瞬離れた後、再度私に重ねられた。 呼吸を整える為だったか、驚いていた先程とは違って閉じられてはいない。 忌まわしくも、男が舌を彼女に侵入させた。 キスするのは初めてというわけではない。 外国では挨拶程度のものだし、私自身、同性異性を問わずその頬や唇、目蓋に口付けてきた。 愛しみを込めたキスも何度か経験した。唇と唇の…。でも違う。これは違うのだ。 知らぬ男に突然キスされ、剰え防御を陥落させ侵す。これのどこに愛情があろう。 汚らわしい。目に薄らと涙が滲む。 早く時が過ぎればいい。早く終わればいい。私はすべてを呪った。
この静寂を破ったのは、勢いよく扉が開く音と覚えのある少女の声だった。
「薄桜生徒会執行部諸君、失礼するわ!道場破りよ!我こそは欧州女学院2年A組!!!欧州女学院の生徒会長サマの姫の従者である!悪党“左之”から囚われた姫を奪うため参った」
「おいおいお嬢様一号…いや二号だったか。サン…どういう設定なんだよそりゃ。だいたい左之は目の前に…」
おそらく生徒会室に入ってきたのだろうか。後ろから男性の声もする。 残念だがそれ以上は頭が働かなかった。 永倉の声が尻すぼみになったためか最後の方はには聞き取れる声量ではなかった。永倉も室内へ入る。 彼女らの前で原田と不知火と天霧がソファーに座りながらこちらをポカンと見つめていた。 誰もが状況を掴めていない様子だ。無理もない。
「これは失礼。生徒会執行部の皆様、私はの親友の。ところでの様子が見えないようだけど、どこにいったのかしら」
室内に問いかける。見るからに遊んでいそうな不良男が視線を向けた。
「さっきの嬢ちゃんならあっちにいるぜ」
握りこぶしに親指を立て部屋の隅の方を指す。何とも広い部屋だ。無駄に。 部屋の奥には大きな衝立が目に入る。ガラス製ではないそれは大きく高く向こう側が何もわからない。
「ありがとう」
場所がわかれば話は早い。悪党“左之”とはきっとあそこに居る。の中では、薄桜の生徒会長のことはすでに忘れ去られていた。 すたすたと彼女は一目散に衝立へと向かった。
の声。足音。
早く来てという思いと、来ないで見ないでという思い。 相反する思いが薄れる意識の中渦巻く。
「失礼します。…」
の声が途切れた。正確には声を失ってしまったのだ。 目の前の悪夢に惨劇に、身体から魂が切り離されたように放心状態だった。 金髪の男がを組み敷き、強引に唇を奪っている。が知る少女は瞳に涙を溜め、今までに見たこともないくらい弱々しい。 想像をはるかに超える状況に頭が働かない。
「(違う…。助けなければ。貴方を)」
の中で何かの糸が切れた。
咄嗟に振り返る。腕が衝立に当たったのか、重いはずの衝立が音を立てて倒れた。 部屋中にこの惨劇が晒される。 先ほどに場所を教えた長髪の男は「何だ風間、お楽しみ中だったのか」 なんて軽々しく口にしている。隣の学ラン姿の男は目を見開いたまま。 その隣の赤毛の男と永倉先生は「おい風間何してやがる」と顔を歪め駆け寄ろうとしている。 は棚の隅に立てかけられた長いモップの柄を掴むとその男に向かって走り出す。
「貴様ふざけるな!我が欧州の生徒会長、に向かって何たる無礼だ!」
腹の底から声を絞り出す。普段の彼女とは程遠い感情に任せた低い声だ。 雑巾が取り付けられていないモップは長い柄と金具で構成されている。 柄を握りながら金具部分を男に向けた。さも面倒事のように男の紅い瞳がに向けられる。ゆっくりと男の唇がから離れた。しかし退く気はないらしい。 男の下にはまだがいる。
「フン。この俺に向かって“貴様”とは、女は威勢だけは良いようだな」
この男は相手を苛立たせる能力には長けているらしい。 今のには周りの状況は見えてなかった。 このままなら長い凶器を相手に振りかざすのも時間の問題だ。 そんなことがあれば、暴力問題以外の何物でもない。 間違ってもそんなことは彼女に起こさせてはならない。
「(を…止めなきゃ…)」
ようやく解放され、存分に空気を取り込むよう肩で息をするには、頭に血が上ったが見えていた。口付けなんて減るようなものでもない。 確かに今も足元に居る男に恐怖を感じたのも事実だが。 それで彼女が間違った行為をしてしまえば、この男と何の変りもないのだ。 乱れていた呼吸が少しだけ落ち着いてくる。
「悪いな嬢ちゃん。こいつには俺ら教師が、二度とこんな馬鹿げたことが出来ねえように締め上げてやる。 だからそんな物騒なもん、降ろしな」
「…!」
原田がの手に握られたままもモップに手を添える。が力強く握っていたためか彼女の手のひらは軽く色が変わっていた。 そうだ。ここで殴ってしまえばの仇は取れる。だが同時に欧州の名を、自分さえも汚してしまうのも事実だ。 だがはもっと恐ろしく耐えがたい行為に晒されていたのだ。 一発殴らなければ気が済まない。 がモップを握る手を緩めた。 その隙を付いて、原田はの手から離れたモップを肩に掛けると、風間の方を見やる。 ソファーでは、が永倉の手を借りて起き上がろうとしていた。 呼吸は整っているが、身体は重そうで数十分前の彼女とは比べ物にもならない。
「で、どうするよ風間。この件は俺から土方さんに伝えといてやる。 精々、言い訳考えるんだな」
「今更あの男が入ってきたところで問題はない。好きにするがいい」
部屋の奥にいる風間の前に原田がモップを肩に掛けつつも牽制している。 後ろにはを支えると永倉。入口側にいる不知火と天霧は座ったままだ。
「欧州の女…またいずれ会うことになるだろう。覚えておけ、我が名は風間千景だ」
悪びれもせずに男は続けた。 の眉が顰められる。は感情を出さずに静かに男を見ていた。 やっぱり一発打ん殴らないと気が済まない!と、が秘かに握りこぶしを震わせていた時だった。 さっきまでは立つのもままならなかったがもう大丈夫。は原田を通り過ぎ、ゆっくりと風間と名乗った金髪の男に歩み寄る。 その場にいた者の視線が集まるのを感じる。 永倉は慌てて駆け寄ろうとしていた。 が、男の前に立った。
―ッバチン と、勝手に体が動いていた…というわけでもないけれど。の手が風を切るような速さで宙を舞い風間の頬を打った。 部屋中が凍ったように静寂に包まれる。原田も永倉も、でさえも動けぬまま瞬きを繰り返すばかりだ。
「欧州女学院2年、。別に覚えておかなくてもいいわ」
文句があるならどうぞ、と言わんばかりに堂々と言い切る。 もういい。くるりと反転すると無表情のまま教師の横を通り過ぎた。 慌てての後を追う。彼女たちが生徒会室の扉の前に来た時だった。
「原田先生に永倉先生、今日はもう帰ります。 土方教頭に申し訳ございませんとお伝えください。 今日の事は忘れます。どうか皆様も忘れて下さい」
が深々と最敬礼すると扉に手をかける。も礼をすると後を追いかけた。二人の少女が去った後、 止まっていた時が動き出したかのようだった。原田と永倉が慌てて部屋を出る。 その際、原田だけは一瞬風間を睨みつけていた。
「やれやれ、人間の女と言うものは特に面倒なものだ」
「って言ってる割には、随分楽しそうだったじゃねーかよ。 にしてもさっきの凄かったぜ。お前に鉄拳食らわす女なんて初めて見た」
荒れた生徒会室の中で、男たちの声が響く。
「で?」
風間が寝そべった男に目配せする。 不知火は風間の視線に気づき小さく笑った。この視線には意味がある。
「お前が楽しんでた女はわからねえよ。だが、後から来た女は間違いなく…黒だ」
「ほう。お前にもわかったか」
「当たり前だろ?俺様を誰だと思ってんだ」
「風間」
全てを見ていた寡黙な男が口を開いた。同時に紅い眼差しが奥に向けられる。
「あまり強引な真似はやめてください。目に余ります」
「フン、知ったことか。今から少し出る。あの男が怒鳴りつけてきても面倒だ」
ゆらりと身体を進めると風間千景は生徒会室から姿を消した。 相変わらず、その口元は緩んだままだった。